(禁無断転載)

○ 開発内容　Development Activities

①ELID加工要素の開発　Development of ELID-Machining Elements
ELID法をベースとした次世代のものづくり技術の普及のためには，環境に配慮したELID加工要素の開発が必要である．まず，環境に優しいメタルレスELID加工用砥石の開発を進めており，超微細ダイヤモンド砥粒を用いることで，ナノレベルの超平滑鏡面を達成している．また，ELID加工用研削液に関しては，質的な面からのアプローチとして，エタノールアミンやホウ素化合物を含まない液の開発を行った．ELID法自体，極めて環境に優しい加工技術ではあるが，将来に向けた一層の環境保護を優先した新製造技術を確立して行くためには，加工液は不可欠な開発要素となる．一方，量的な面からは，使用する加工液を最小にするためにミスト供給システムの開発を進めている．さらに省資源化の観点から，薄状の(一部はテープ走行方式を考えた)ELID加工用電極を開発し，メンテナンスの省力化を目指している．また，加工中の安定性を含めた対策のために，研削液の浄化システムの開発を検討している．

メタルレス砥石による加工面(Ry8.628nm)


(a)薄状電極	(b)従来電極
新型ELID電極

研削液の再生試験

ミストELIDの様子

②デスクトップ加工システムの開発　Development of Desktop Machining System
超微細加工を効率的に実現することを目的として，デスクトップ加工マシン・加工システムの開発を進めている．デスクトップ切断加工機，端面加工機，4軸加工機を開発し，ELID機能を搭載し，必要な加工自由度，軸構成，ソフトウェア技術により，マイクロセンサやマイクロアクチュエータ，マイクロレンズ等の微細加工に対応できるシステム構築を行っている．また，マイクロコンポーネントのデスクトップレベルでの量産化を想定して，マイクロ金型を用いたデスクトップ成形機の開発を検討している．さらに，インテリジェントなナノファブリケーションに対応したデスクトップ加工システムであるMICRO-WORK-SHOPを提唱し，システム開発を進めている．

デスクトップ4軸加工機

デスクトップラップ研削盤

③マイクロ/ナノ計測システムの開発　Development on Micro/Nano-Measurement
超精密・超微細加工のためには，マイクロからナノ領域における計測ユニットの開発が不可欠となる．そこで，一つは加工動力の計測システムがあり，独自の構造を有し独自の解析処理ソフトウェアを備えたコンパクト型ロードセルの開発を行い，実用に供されている．もう一つは，オンマシン計測ユニットの開発であり，専用のセンサ・プローブの開発とデータ処理システムの構築がある．さらには，マイクロ/ナノ計測システムの開発であり，オンマシン計測に耐える原子間力顕微鏡の開発，デスクトップタイプのマイクロ三次元形状測定機の開発を進めている．これらのシステムは，ナノメカニカルファブリケーションの研究活動やものつくりIT技術の構築へと向けた応用展開を図り，新世代の加工システム技術として確立を狙う．

機上測定の様子

被測定物とプローブ先端

④マイクロ構造/機能デバイスの開発　Development on Micro-Structural/Functional Devices
マイクロデバイスの一つとして，超精密非球面光学素子の開発がある．工業技術から研究開発，基礎研究に及ぶ，広範な用途に応えるべく各種レンズ・ミラーの開発を進めている．代表的な例では，マイクロ非球面レンズや特殊フレネルレンズ，ホログラム，回折格子，そしてX線ミラーやラマン分光分析用の深い放物面凹面ミラーの開発や，宇宙望遠鏡開発を狙った大口径ミラー，中性子物質レンズの開発を進めている．また，マイクロセンサやフィルタなどの光・電子デバイスや，超高密度な記憶容量を持つ薄厚電子デバイス用の半導体基板の開発，そして，いわゆるマイクロマシンやマイクロメカニズムに適用されるマイクロ構造体の開発も進めている．

中性子物質レンズ		両面湾曲フレネルレンズセグメント

凹面放物面ミラーとその電鋳マスター		反射板成形用マイクロ金型

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